<君主の品格・下>
翌朝。 軍議の時間になると一同が広間に集まった。 俺は一人上座に陣取り、向かいには幕僚たちが階級順に従って席を占めている。 俺が席に着いて一言「始めよう」と言うと、それが軍議開始の合図になった。 手順は大体決まってる。 最初は幕僚に任せておいて、俺はただ彼らの討論を聞いている。 好きなだけ話し合わせていると、大概二、三の案を残して煮詰まる。 そうなったところで、俺が適当に話を止めて決定を下すんだ。 今は出方を模索している時期だから、案は色々と出た。 軍を向ける場所もいくつか挙げられたし、文官では一度内政に目を向けての兵力温存を言う者もいる。 主張はそれぞれにあるもんで、それが話し合う中で持ち上げられたり潰されたりしていくのを、俺は黙って聞いていた。 「殿、臣らの言、如何思し召されましょうか?」 頃合を見計らって、張昭が話を振ってきた。 案が絞られてくると発言に個人的な自慢や嫌味が増えてくるから、適宜、気の利いた奴が俺に意見を求めたり、俺が咳払いしたりするのが習いだ。 張昭の一言と共に、場の注目は一斉に俺に向けられる。 ここからが見せ所だな。 俺はなるべく威厳が出るようゆっくりと頷き、それから口を開いた。 「皆の発言、よくよく聞いていた。…しかるに、この度は廬江を攻めるを善しとする」 そう言うと、場の空気がしんと静まり返ったようだった。 ――――― 廬江を、取る。 これは決定事項だ。 けど、どんなことにも反対者ってのは居るもんで、俺は広間を見回してそいつらの位置を掴むと、主にそちらに向かって理由を述べた。 「…廬江を取れば、江東一帯が我が軍の勢力下に入る。長江沿いの城は水軍による連携も取り易かろう。これによって、我らの地は一層堅固なものとなるのだ」 まず、そう言った。 当たり前だが、それでそいつらが納得する筈はない。 俺が言ったのは単なる地図上の理で、しかも議論の中でも散々言われたことだったからだ。 で、周瑜の出番というのが専らこういう時だった。 ここで俺が話を振って、周瑜が具体的にその利を述べる。 すると、どんな主張もそれらしく聞こえて、それで大方話がまとまるんだ。 けど、それは裏を返せば、俺が話を振らなきゃ周瑜も発言できないって事でもある。 周瑜には、俺の許す限り自由に振舞って差支えないくらいの地位階級をやってあるんだが、周瑜自身の孫軍に参入している期間は意外と短かく、概ね控えめに立ち回ることにしていたんだ。 いや、俺らの間では、ずっと一緒に軍を進めてきたつもりでいるんだがな、外向きには、周瑜は一度袁術の下に戻ったという経歴になっている。 …… とにもかくにも、俺はこの時周瑜に声をかけなかった。 そしてその代わり、幕僚たちに向かってこう言った。 「――――― 何か、反論すべきことはあるか?」 俺は周瑜の方を見なかったけれども、多分、周瑜は驚いていたと思う。 驚いて、『一体どうなることか』と、よく見物していれば良いと思ったな。 俺は俺のやり方でやっていけるってところを見せ付けて、それから周瑜に問うてやりたかった。 ――――― お前は『孫伯符』の臣下か、と。 『孫堅の息子』じゃない『俺』を、君主として周瑜がちゃんと認めているのか、俺はどうしても確かめたかったんだ。 俺の問いかけに対して、「恐れながらっ…」という声はすぐに上がった。 見ると、反対者の一人が拱手して頭を垂れている。 「廬江太守・劉勲は故・袁術勢力残党を吸収しており、正面切って戦うに易き者ではないかと思われます」 「ほう」 俺はもったいぶって片方の口端を吊り上げた。 「戦は、頭数を揃えれば勝つものか?」 「いえ。しかし、故・袁術の元には音に聞こえる猛者もおりましょう」 「フン、劉勲が如き小物、残党を掌握する才などあろう筈も無い。あやつ、先日我が軍に降ろうとした張勲・楊弘らの財を掠め取るような輩だぞ。袁術子飼いの猛者など、御しきれるものか」 吐き捨てるように言うと、この情報を知ってか知らずか、手前に座っていた程普が怒りを露わにした。 「劉勲め……太守とは名ばかりの、小悪党よ!」 「徳謀、その通りだ。地位と財に群がった賊どもなど、我が軍の足元にも及ぶまい」 「殿、廬江を我らの手に!」 「おう」 俺は大きく頷いた。 場の空気が次第に盛り上がってきているのを、肌が感じていた。 ――――― 昨夜考えた策、言うならば今だろう。 俺は改めて張りのある声を出した。 「されば、軍を二手に分ける」 一旦言葉を切ると、幕僚たちは次を期待する目に変わった。 チラリと見れば、それは先の反対者も同じで、俺は軍議の成功を予感しながら息を吸う。 「次の戦、廬江のみには終わらせん。これと同時、手薄になろう皖をも攻め落とす!」 言い放った瞬間、広間にはどっと喊声が上がった。 人の声は、俺にはとても心地よい。 俺の進め方で、俺の考えた作戦で、皆を納得させられたからだ。 この軍議、父の時代と比べても遜色ないだろう。 俺は、満を持して目を向けた。 一番前だが一番端の周瑜の席だ。 驚かせてしまったろうが、なかなか上出来の運びだったはずだ。 せいぜい呆れ顔を期待してみるか、と内心思う。 が、しかし、視線を送った先には苦笑混じりでも不満そうでも、ましてや呆れてもいない表情の周瑜がいた。 ……そう、言うなればむしろ、あれは『青褪めた』というもんだ。 ――――――― 俺は直感的に、敗北を悟った。 周瑜も周瑜の方で、俺と目が合って初めて自分を取り戻したようだった。 ハッと気付くと、素早く拱手の形を作って言う。 「――――― 『殿』、我が不肖ながら、お尋ね致したき事がございます」 相変わらず場を制すことの出来る凛とした声も、この時は、心なしか弱く聞こえた。 その声に、まず振り向いたのは程普だ。 「何?」 日頃一方的に周瑜と犬猿の関係を作っているこの老将は、大いに盛り上がった軍議の場に、あろうことか鼻摘みの若造から水を差されて思わず声を出したようだった。 ……しかし、今はそんなことに構ってはいられない。 俺は何か重大なことを取りこぼしたんだ。 背中を流れる冷や汗に耐えながら、俺もおそるおそる周瑜に応えた。 「何だ、公瑾。……言ってみろ」 「はい。されば『殿』は、劉勲を討つ大義名分を張勲・楊弘両者の件にお求めでしょうか?」 「……あぁ」 「お怒りは御尤もにございます。なれど今しばらく、その事はお身内にお隠しなさいますよう。…管見ながら、ここは一度、劉勲と同盟を結ぶが宜しいかと存じます」 「……公瑾」 俺は、そこで何とか深い溜息を洩らさずに済んだ。 ―――――― 思い出した。 あぁ、思い出したとも! 周瑜が昨夜、わざわざ俺のところに来て話していった、その内容を。 俺がぼんやりしていた間、ご丁寧に地図を指差して説明くれた戦略を! ……けど、もう……遅いな。 「我が殿が小悪党なんぞと同盟を結ぶとな!?…公瑾、戯けた事を!」 事の次第を知らない程普は、周瑜の提案にいきり立った。 そうだ。 こういう事があるから軍議の前には毎回の様に話し合っていたというのに、俺はわざわざ、不要な恨まれ役を周瑜に買わせてしまった。 「良い、徳謀。……公瑾は、続けろ」 半ば眩暈を覚えつつ、俺は手を振って先を促した。 「恐縮にございます。……されば、同盟成立の折、『殿』は劉勲に『海昏・彭沢周辺を攻めよ』とお勧めになるのです」 「海昏・彭沢というと、元・上繚の者どもだな。以前、劉勲が財を奪い損ねた奴らが移り住んでいると聞くが」 「はい。仰せの通り、劉勲らは『地位と財に群がる賊ども』。 加えて現在は食糧不足と聞き及びます。必ずや勧めに従って軍を差し向けましょう」 「奴らが城を空にしたところで攻め入るか……。確かに、その方が我が軍の損害も少なかろう」 「二手に分かれて皖をも攻めるは素晴らしき軍略。元より同盟など形に過ぎませぬ。張勲・楊弘の件は、その際に大義として掲げるのでも遅くはないかと」 「うん」 「この議、何卒、お考えいただきたく存じます」 「…解った」 俺が力なく頷いた頃にはもう、広間は静まり返っていた。 全く、先ほどの静けさとは似ても似つかないもんだ。 周瑜の献策が優れているというのは、誰にでも解っただろう。 その証拠に、程普でさえも最後は大人しく聞くだけになっていた。 俺が周瑜の言を容れるだろうことも充分明白で、だから、それから遅くならないうちに軍議は終了してしまった。 ――――――― 正直、張り切ってた分、反動が半端じゃなかった。 打ちのめされた。 それが正しい表現だな。 「『孫文台の息子』じゃない『孫伯符』だって?……はっ、馬っ鹿みてー……」 俺は廊下を歩いて自室近くまで来ると、堪らずそう零していた。 『君主として』とか、『孫堅の息子じゃなく』とか、俺はそんな水準ですらなかったんだ。 親友の大切な話を聞き零していたどころか、一人で盛り上げて一人で恥かいてるんだからな。 「…情けない……」 口にすると、言葉が重石のように圧し掛かってくる気がした。 踏み出すごとに重さがいや増して、ついに、俺は自室の手前で動けなくなってしまった。 そうして暫く経つと、背後から聞きなれた足音が近付いてきた。 俺は振り向かなかった。 いや、振り向けなかったな。 けど、足音が近くでピタリと止まると、思った通り、涼やかな声音が聞こえてくるんだ。 「落ち込んでいるのか?…『柄にも無く』」 「……………… うるせー ……」 弱々しい一言が、今の俺には精一杯だった。 周瑜は少しだけ待って、それでも何も起きないと話し出した。 「……私だって驚いたぞ。君が突然、聞いてもいなかったことを言い出すのだから」 ふんわりと、背後の空気が動くのを感じる。 俺が凭れかかっている壁に、周瑜も身体を預けたようだった。 「昨夜、君が話半分だったことは解っていたが……。それでも、君がいつもの様に声を掛けてくれて、私の話に適当に相槌を打ってくれれば済む事だった。一体、どうしたと言うのだ?」 「…るせぇ、まんまだ。お前の話聞き流して、馬鹿なこと考えて、ポカしただけだ」 「ほう、君にしては上手いまとめではないか。…しかしまた、随分とご傷心の様子だが?」 「…放っとけよ」 「出来ぬ相談だな。君は今ここに居るべきではあるまい、『殿』?」 「……」 ――――― 『殿』。 周瑜の口からその言葉が出ると、俺は胸にじんわりと染みるような痛みを感じた。 悔しかったし、呆れてたし、情けなかったし、恥ずかしかった。 ――――― やっぱり、昔からの付き合いで、お前は俺のところに居るんだろうか。 俺は『孫堅の息子』だから軍を率いることになったんであって、俺が孫軍の頭領だからお前は俺を『殿』と呼ぶんだろうか。 俺は俺で志を持ってやってきたのに。 父を超えてやると、思っていたのに ……―――――――。 そういう思いが、俺の中で急速に具体的な言葉になってぐるぐる回り始めた。 「……何があったのだか知らぬが、伯符、今はそのように立ち止まっている時期ではないぞ。孫軍を天下に知らしめる、それが君の夢であろう?」 周瑜はまた痺れを切らしたようだった。 やんわりと訴えかける口調が咽喉に“つかえ”を感じさせて、俺の拳には力が篭る。 「……『放っとけ』って言ってるだろ」 「『出来ぬ』、と言ったはずだ。 君が居なくては、軍が始まらんの…」 「うるせぇっ!!」 俺はとうとう、振り向きざまに周瑜を遮って怒鳴った。 「『放っとけ』っつってんだから、放っときゃいいだろ!?…俺みたいな君主、お前に傅(かしず)かれる資格無いんだ!」 周瑜は、少し驚いたようだった。 俺は何故だかとても息苦しさを感じていて、自分の胸倉掴みながら、肩で息をしていた。 「―――――…… どういう意味だ?」 やがて周瑜が問う。 俺は、歯軋りした。 口にするのは辛いことだったから、それを二度も言わせようとしてる相手に憎悪さえ感じる。 「…俺は、……お前の主君として相応しくないって言ってんだよ」 やっとの事で、そう言った。 けど、周瑜はまだ要を得ない様子であって、訝しげに眉を顰めた。 「……それは、遠回しに私の出仕を拒んでいるのか?」 「違う!何でそうなるんだよ!?」 周瑜の言葉は全くといって良いほど俺の思惑とずれていて、俺はひどい苛立ちを感じた。 普段、面白いくらいに意見が重なることを考えると、周瑜の冷静に過ぎる視線が尚更腹立たしく思える。 周瑜は、言った。 「そうでないならば、己が主君としての良し悪しを論ずるなど『不遜』としか言いようが無い」 「……何?」 今度は俺が眉を顰める番だった。 「主君、……『君主』とは、そもそもどの様にして為るものだ、伯符?しがない子供が、己が君主と呼ばわったところで、それが『君主』と言えるか?そやつは『君主』として、一体何ができる?」 俺を見据え、周瑜は滔々と語る。 「…思うに、『君主』は自ら為るものではない。人によって立てられるものだ。ならば、『君主』の是非を述べるは臣下、あるいは民のみ。『君主』は、ただ捧げられた忠節に義を尽くすのみよ」 聡明な親友に理攻めにされて、俺が言い返すことなどできようはずもなかった。 そうして、終いにきっぱりと、こう言った。 「君が私の主君に相応しいか否か…、それは私が決めることだ。 君にでさえ、とやかく言われる筋合いはない」 周瑜はそれから、多少うざったそうに黒髪を払って溜息をついた。 「……何があった?」 「…え?」 「何があったか、と訊いている。君がこれほどに落ち込むなど、そうそう無いだろう?」 それは…、と俺は言い澱む。 そういう質問が返ってくるなんて、予想していなかった。 だから俺は、何から始めれば良いのか手繰るように考えつつ、思考の行き着いたことから口に出した。 「……お前が、父上のことを言うからだ」 「…………は?」 それはたった一音節でも解る、不機嫌な声だった。 見れば、周瑜の片眉はピクリと歪んでいた。 「あぁ、いや違う、違うんだ。…そうじゃなくて、俺は、お前に認めさせたかったんだ」 「ほう?」 「公瑾」 まだ皮肉さを残していたのを、俺は窘めるように呼びかける。 「…俺は父上を超えてみせる。そう思ってきた。 だが、俺の軍はどうだ?皆、『孫文台の息子』に期待してる。『孫伯符』にじゃない。奴ら皆、『江東の虎の息子』の軍に集まってきたんだ」 周瑜の表情は、そこで少し変わった。 無言のうちに視線で次を促している。 「名を利用して兵を集めたのだから、文句は言わん。奴らに『俺』を認めさせられるかは、俺の甲斐性さ。実際、揚州を押さえてから、老将たちは俺に膝を折った」 「あぁ」 「それでも、俺はまだ父上を超えたとは思わない。…お前が、いるからだ」 「……私が?」 「そうだ。俺と同じ場所から父上を見ていた、そのお前に認められなければ、俺はまだまだ『誰かの息子』でしかない」 俺は意を決して顔を振り上げた。 「この際訊こう、公瑾。――― お前は、『俺』を『君主』として見ているか?」 その問いに、だが、周瑜は絶句したようだった。 眉根には途端に深いしわが刻み込まれ、何も言わずとも呆れているのが解る。 やがて、明らかな溜息が一つ、零れ落ちた。 「……君も存外、疑り深いと言うか、忘れっぽいと言うか……」 「な、何だよ?」 俺は戸惑った。 苛立った周瑜の様子は、俺の到達しうるあらゆる予測と異なっていたからだ。 「良いか? 君が袁術の元を出て呉に向かった時、人馬と船と食料を携えて駆けつけたのは一体誰だ? 引き立ての話を蹴って、居巣の片田舎から君と連絡を取り合っていたのは? 袁術と手を切ると聞いて、真っ先に君の下に旗を立てたのは?」 「それは……」 「私でなくて、一体誰だと言うのだ?…ここへ来て、君に私の心を疑われようとは思ってもみなかったぞ!」 「…公瑾…」 周瑜の怒りはおよそ本気だった。 それこそ、下手なことをしたら斬られそうなほどに。 俺は俺で不安を感じていたのだが、周瑜にとってはそれさえ矜持を折られることだったのかも知れなかった。 「…なぁ伯符、考えてもみてくれ。私がかつて自ら傅いた者が、君以外にいるか?」 周瑜は問うた。 俺は、しばし思いをめぐらせる。 考える前から直感で答えは出ていたが、丹念に記憶を探って、それでも変わらないことを確認した。 「…いない、な」 「そうだ。私はこれまで、君以外の誰にも自ら傅きはしなかった。そして今は君の――― いや、『孫伯符』の臣になっている」 漆黒を湛えた瞳は、俺に真剣さを伝えていた。 「…必要ならば今後も誓って見せようか。決して君以外の者には膝を折らぬ、と」 「公瑾…」 真直ぐなその言葉に、俺は何を言うよりむしろ、力任せに周瑜を抱き締めていた。 「…は、伯符っ!…苦し…」 急に締め付けられた所為か、周瑜は腕の中でもがいた。 「はは、悪い。…けどやっぱり、俺の目に狂いは無かったな」 「…何のことだ?」 俺が腕の力を緩めると周瑜はやや咳き込み、半分睨んだ視線を寄越した。 「『お前がいれば、俺の夢は叶う』。 本気で言ったことだが、本当でもあった」 「何をしゃあしゃあと…」 満面笑みの俺に、周瑜は素っ気なく返す。 けど、顔を背けたその頬に、うっすら朱が昇っているのは誰でも解ることだ。 それが存外可愛らしくて、俺は無防備になったその首筋にすかさず唇を寄せてやる。 「…っ!?…だから、調子に乗るな、伯符!」 周瑜は懐き始めた俺を、襟足をグイと引っ張って無理矢理自分から引き剥がした。 「…折角私が居てやっても、君が話を聞いてくれないならば意味が無いのだぞ!…今朝の敗因が解っているなら、早速自らを正し給え!」 「……痛いとこ衝くな、お前…」 「下らん事はするな。もう行くぞ」 ――――― 全く、甘い雰囲気を作り上げるのも一苦労だ。 周瑜など、背に回った俺の腕を一本ずつ掴んで早くも解こうとしている。 だから俺は、腕を解くだけ解いて、離しざまに両手を繋ぎ返してやった。 勿論、周瑜は驚くよな。 「!」 でもって、俺を叱咤しようとする。 「…伯っ…!」 けど、みなまでは言わせてやらん。 掠めるように口付けをして、驚きに固まった周瑜を面白く眺めてやる。 「…じゃ、行こうか、公瑾!」 俺は機嫌良く言い放ち、堂へ続く廊下を颯爽と歩き始めた。 了 上へ 小説topへ ← |